この記事でわかる事は?
石膏ボードの壁にビスをしっかりと効かせる方法がわかります。
石膏ボードにはビスが効かない?
現代の住宅の壁、天井は、石膏ボードで作られている事がほとんどです。(壁紙の裏に石膏ボードという板が張り付けられている)
そしてその石膏ボードには、そのままビス・ネジを取り付けても強度があまりなく、DIYをしていると色々な問題に当たる事が多いです。
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石膏ボードにビスが効かない理由
ビスが効く条件
なぜ石膏ボードにビスが効かないのか?について、根本的な部分はなかなか理解が難しいですが、ビス、ネジというのは基本的に打ち込む相手が同じ形状になって力を発揮します。
機械などの金属部品だとわかりやすいですが、ネジとその相手の部品のナットなどにも同じらせん状の溝があります。
ネジ自体を雄ネジ(おねじ)、相手を雌ネジ(めねじ)と呼びます。オスとメスですね。
それに対して住宅でよく使われる木ネジやビスというのは、タッピングねじという分類になり、打ち込んでいくのと同時に相手の部材にめねじを作っていく物となります。
これが成立するポイントは、打ち込んでいくと必要なだけ広がるが、元に戻ろうとする力が働く事です。それによってネジが抜けない様に摩擦力などの力が働きます。
木材はこれが優れており、打ち込んだ後は食い込んだ形でしっかりとネジが止まります。
石膏ボードはこれが成立しない
石膏ボードはその名前の通り石膏で出来ており、表面は専用の紙で包まれています。
その状態での面の力には強く機能性と使い勝手のバランスから住宅の材料として多用されていますが、ピンポイントで力がかかると弱いです。
壁に画びょうを刺すのにそこまで力はいらないのをイメージしてもらえればわかりやすいかもしれません。
同じように木に画びょうを刺そうとすると今度はかなり力が必要です。
また、石膏は固いですが粘り気がなく、力がかかるとボロボロと崩れてもう戻りません。
その為、ビスを打ち込む際に穴が崩れてしまうとめねじが無くなってしまいます。
もしくはきれいに打ち込めたとしても強く引っ張る力がかかると、また崩れて抜けてしまいます。
最初は止まっていたが使っていたら取れてしまったというのは後者のパターンです。
ビスの効かせ方を覚えてDIYのレベルアップをしよう
ここまで石膏ボードにビスが効かない理由を説明しましたが、これから対処法を覚えていきましょう!
石膏ボードにビスが効くようになればDIYのレベルアップが出来る事間違いなしです。
対処法1.木材の下地や柱を見つける
石膏ボードの後ろには柱がある
まず第一に考えたいのは、石膏ボードの裏にある木材の柱を見つけて、そこに届く様にビスを打ち込む事です。
石膏ボードを固定するために、一定間隔で間柱(天井は野縁)と呼ばれる柱が裏にあります。
木材に打ち込めればかなりの強度が確保出来るので、これは最初に考えたいです。(マンションなどの鉄筋コンクリート造の場合は軽量鉄骨という金属製の場合もありますが同様です)
ただし、一定間隔にしかないので、ビスの打ち込む場所にちょうど無い場合は1箇所だけ、など出来る範囲で使います。(1箇所でも打っておいた方が良いです。)
見つけ方
間柱の探し方ですが、壁の中にあるので表からはわかりません。
そこで、下地探しという道具を使って探していきます。
これは、左側の目盛りがある部分を押し付けると細い針が飛び出す様になっているもので、画びょうの例えで書きましたが石膏ボードには割と簡単に針が刺さります。それに対して木や金属は針が刺さりにくいです。
その違いを利用して、針をブスッと刺してみて、楽に入る所には柱が無い、途中で入らなくなる所には柱がある、というのがわかります。
間柱を見つけたら順番にマスキングテープ等で印をしておきましょう。別の箇所に移動するとどこにあったかわからなくなってしまいます。
この針タイプの下地探しは安くて手軽に使えるのでDIYをするには一つ持っておくと重宝します。
針は跡が目立たない様に細くなっていますが、近くで見るとわかるのであまり無暗に刺さない様にした方が良いです。
下地探しは下記の様な跡が残らないセンサータイプもあります。機械を当てて音波で下地のある場所を調べられる物です。
壁に穴が開かずに使いやすいのですが、少し値段が高くなるのと誤差や誤検知の可能性もあり確実性が少し落ちるので、好みに合わせて選びましょう。
対処法2.ボードアンカーを使用する
下地が無い所にビスを効かせるには、ボードアンカーという部品を使用します。
いくつか種類があり、それぞれ長所と短所があり目的に合わせて選ぶ必要があります。
ボードアンカーの役割は、ビスの効かない石膏ボードの補強です。上の写真のねじ込み式のボードアンカーの場合はビスよりかなり太くネジの幅も広くなっていて、ピンポイントに力がかからない様になっていて石膏ボードが崩れず保持力を確保しています。
ねじ込み式ボードアンカー
ねじ込み式は写真の様に、太いネジの様な形状をしています。
使い方:ビスを打ちたい場所に一度ビス打ち込んで抜きます。そうすると中心の穴が出来るので、今度はそこに向かってモードアンカーをねじ込んでいきます。
ねじ込み式のメリット
1.価格が安い:1本あたり約40円
2.使い方が簡単:先にビスを打った位置にねじ込むだけ
ねじ込み式のデメリット
1.強度はそこまで無い:耐荷重10Kg前後
傘式ボードアンカー
傘式ボードアンカーは名前の通り、石膏ボードを貫通した後に傘の様に開いて、裏面からしっかり挟み込む形状となっています。
使い方:
ビスを打ちたい場所に一度ビス打ち込んで抜く。
今度はそこに対してドリルで下穴を開ける(9mm前後で種類による)
ボードアンカーを差し込んで、元々セットされているビスを締める方向(時計回り)に回していく。
※この時、しっかり根本までボードアンカーを差し込む。根元の部分にボードに刺さる様な爪があり、それが食い込む事で一緒に回ってしまう事を防いでいます。差しこみが甘いと爪の部分も一緒に回ってボードをえぐってしまうので注意です。
そうすると傘が開いてきて、ある所で回らなくなるので止める。(電動ドライバーだとわかりずらく回し過ぎるので注意)
今度は反時計周りに回してビスを抜く。
傘式のメリット
1.強度がある:引っ張り強度30Kg前後
傘式のデメリット
1.価格少し高い:1本あたり約60~70円
2.ねじ込みより少し難しい:種類によりあらかじめ下穴を開け、傘がしっかり開く様に注意が必要
対処法3.補強下地を入れる
次は、補強下地を入れるやり方です。
これは、対処法1で紹介した間柱を見つけるやり方の派生ですが、上の画像の様に、まず間柱に対して木材などをビスで固定する。
そして、さらにその上に手すりなどの取り付けたい部品をビス止めしていく。
手すりなどは人間の体重がかかり、紹介したボードアンカーでは強度が足りていないのと、間柱の間隔と手すりの間隔が一致しなかったりするので、この様に固定しなくてはいけません。
適当な木材を見繕っても良いですし、安くてきれいな専用の部材も売られているのでそれを使っても良いかもしれません。
このやり方は強度はしっかりとした確保できますが、材料が必要で少しだけ見栄えが悪くなるのが問題です。
ちなみに、普段目にする手すりにはこんな物ついてないけどどうなっているの?と思いませんか?
それは、元々壁の中に下地が埋まっている。が答えです。
設計段階でここに手すりが付くな、と分かっていれば、あらかじめ壁を張る前に下地を入れるのです。
他にもペーパーホルダー、タオルハンガー、カーテンレール、エアコンなどもあらかじめ建築段階で下地を入れています。(たまに設計、施工漏れもあるかもしれませんが。。)
まとめ
石膏ボードにビスを効かせる方法についてまとめてみました。
壁や天井に何かを付けたいというのはかなり多いシチュエーションと思いますので、是非役立てて頂ければと思います。
もうちょっと加筆修正しようと思うのでご期待ください。