エアコンガス補充方法

エアコンが冷えない時の原因

エアコンが冷えない時に考えられる原因を最初に説明します。

下記の様に、冷えない時は様々な原因が考えられます。

原因一覧

  • 操作ミス
  • フィルター、内部の汚れ
  • 周辺の障害物
  • 一時的なエラー
  • 冷媒ガス漏れ
  • 冷媒回路の故障
  • サーミスタ(温度センサー)の故障
  • 電子基板の故障

冷えない=冷媒ガス漏れではない事に注意!

使用工具・資材

ゲージマニホールド

ガスの圧力計測に使用

R410冷媒ガス

補充するガス※エアコンで使用している物に合わせる

R32冷媒ガス

補充するガス※エアコンで使用している物に合わせる

真空ポンプ

エアコン内部と配管を真空感想するのに使用

デジタルはかり

補充するガスの量を計測するのに使用

チャージホース

エアコン、ガスボンベ等を接続するのに使用

チャージバルブ

チャージホースとエアコンの接続に使用

モンキーレンチ

バルブキャップなどの開け閉めに使用

プラスドライバー

室外機カバーの開け閉めに使用

六角レンチ

バルブ操作に使用

ガスの種類と量

必要なガスの量は0.74Kg=740g

ガス補充の作業

室外機カバーの取り外し

最初に室外機の側面にあるカバーを外していきます。

カバーを止めているネジをゆるめて外しましょう。1箇所の場合もあれば、2,3箇所ある場合もあります。

ネジが外れたら、下にスライドしてカバーを外しましょう。

固い事もあるので少し力が必要です。

カバーが外れてこの様に中身が見えたらOKです。

赤丸の部分からガス補充をしていきます。

ゲージマニホールドの接続

次にエアコンとゲージマニホールドを接続してきます。

いくつかナットがありますが、赤丸している部分が、『サービスポート』と言ってガス補充などを行う部分です。

ここのナットをモンキーレンチで反時計周りに回して外しましょう。

この様に外れたらOKです。

サービスポートについて

サービスポートについて、中央の部分を覗いてみると、ピンの様な物が見えます。

このピンは、押し込むとその間だけバルブが開きます。

なぜこの様になっているかと言うと、チャージバルブを接続した時にガスの出し入れが出来る様にです。

サービスポートに接続するチャージバルブの中央を覗いてみるとこちらにも同じ様にピンがあります。

つまりチャージバルブのピンを押し込んだ時だけガスが流れるので、ガスを漏らさずに作業が出来る構造になっています。

接続する前にゲージマニホールドはこの様な状態にしましょう。

色分けがありますが、自分で間違えなければ何色でも構いません。

ゲージマニホールドの中央にあるバルブは、最初は真上に向けておきましょう、右や左にするとその方向にガスが流れてしまいます。

ゲージマニホールドのバルブ切り替えについて

ゲージマニホールドの中央にあるバルブは、矢印の向きを切り替える事で流れる向きを切り替えます。

こちらは矢印を上に向けた状態です。

この状態では、圧力計まではガスが流れますが、右と左(黄色いホースと青いホース)には流れません。

こちらは矢印を右に向けた状態です。

この状態では、圧力計と、右側の青いホースに流れます。

こうするタイミングとしては、真空ポンプを使用して真空引きする時です。

こちらは矢印を左に向けた状態です。

この状態では、圧力計と、左側の黄色いホースに流れます。

こうするタイミングとしては、ガスボンベを接続してガス補充をする時です。

チャージバルブに接続するホースとチャージバルブを写真の様に接続しましょう。

接続する前に、チャージバルブの後ろのつまみを反時計回りに回しましょう。

ここを回すと、先ほど説明している通り、チャージバルブ中央にあるピンが出る様になっているので、そうならない様に反時計回りに回してピンを引っ込めておきます。

最初からピンが出た状態で接続すると、いきなりガスが出てくる可能性があります。

この様になったら接続は完了です。

ガス残量の確認

接続が出来たら、最初にガスが入っているかを計測しましょう。

先ほど、反時計回りに回しておいたチャージバルブの後ろのつまみを時計回りに回して、ピンを押し込んであげます。

そうしたら、次はゲージマニホールドに付いた圧力計の数値を確認しましょう。

ポイント

針が全く動かず0のままだったら、ガスが空になっています。

0.5より下にある様であればガスは少なくなっている可能性があります。

1.0前後の場合は十分入っている可能性があります。

圧力計での計測は目安で、実際の規定量である○○○g入っているかは数値は測る事が出来ないので、代わりに圧力で大体の目安を付けます。

※ここでの圧力はエアコンが動いていない時の物です。動いている時は圧力が低くなるので数値が変わります。

圧力計の数値によってこの先の対応が変わります。

1.0以上ある場合は、ガスは結構な量入っているので、もしかしたらガスは不足しておらず、他の部分の故障かもしれません。

それ以外の場合は、ガスが減っている可能性が高いので、ガス補充をすれば直るかもしれません。

※ただし、0になっている場合は、漏れ出している原因も直さないとまたすぐに空になってしまう可能性があります。

真空引き

次はガスを補充する前に真空引きしましょう。

真空引きとは、エアコンの内部にある空気を無くし真空状態にする事です。

これをやらないとガスがしっかり補充出来なかったり、空気に含まれた水分でエアコンが故障するのを防ぎます。

本来はエアコンの内部と配管の中を全て真空にするのが真空引きですが、ガスが残っている場合は真空引きが出来ません。

残ったガスを専用の装置で回収する方法もありますが、それはDIYでは現実的ではありません。

ですので、ここではDIYの前提で割り切って、ガスが0の場合のみ真空引きの作業を説明します。

※ガスが少し残っていそうな場合は次のガス補充まで項目を読み進めてください。

写真の様にゲージマニホールドと真空ポンプを接続します。

接続が出来たら、先に説明した通り、ゲージマニホールドの切り替えバルブを右に回します。

この状態で真空ポンプを稼動して20分程度稼動しましょう。(長くやるだけしっかり真空状態を作れます)

ガス補充

真空引きが出来たら、ガス補充を行います。

ガスについては、少なすぎず多すぎず規定量に合わせる事が重要です。

もっと効かせたいと多めに入れると意味が無いばかりかエアコンが故障します。

ガスボンベゲージマニホールドを接続

チャージホースのまだ使っていない残り1本を冷媒ガスのボンベに接続しましょう。

接続が出来たら、ゲージマニホールドの切り替えバルブを今度は左に回します。

はかりを見ながらガスを入れていく

ガスが残っている場合

ガスがまだ残っている場合、残っているガスの重さがわからないので、規定量に対してどれぐらい入れて良いのかわかりません。

その場合は、圧力計の数値とはかりの数値を両方見て、冷え具合を確認しながらガスを入れていきます。

  • 圧力が0.4が最初の状態だったら、0.8になるまで入れてみる。
  • 入れすぎていないかはかりの数値を確認する(規定量が740gなのでそれを超えるのはNG)
  • エアコンを動かして冷え具合を確認してみる

といった具合にこまめに確認しながら、入れすぎない様に気を付けながら補充してきます。

ちなみにガス補充はガスを空にしてから行うのが基本ですので、これはイレギュラーな方法として理解してください。

※DIYで行う前提でこの様な説明になってしまって申し訳ありません。

ガスボンベの接続が出来たら、ガスを規定量まではかりを確認しながら入れていきます。

今回のエアコンだと、規定量は740gなので、そこを目指して入れていきます。

ガスボンベをはかりに載せたら、「ゼロ」のボタンを押して数値をゼロにしましょう。

次にガスボンベの上についてバルブを緩めてガスを入れていきましょう。

あまり急激に入れるとエアコン側のバルブが壊れるので、1秒に10グラムぐらいで少しづつ入れましょう。

数値はー(マイナス)で表示されます。この場合ー68gとなります。

※ガスボンベから68g抜けた=エアコンに68g入った、という事を表します。

少しづつ入れていきます。

途中で、ガスの入りが悪くなる事があります。

その場合は、エアコン電源を入れて冷房をかけながらやるとまた入り出します。

一旦、ガスボンベのバルブを閉めて、それから電源を入れに行きましょう。

※エアコンが動き出すとガスが一気に入り出すので、開けたままだと室外機に戻った時にものすごい入ってしまっていたという事になります。

規定量に対して30g~40g少ない程度までガスが入ったら、そこで補充をやめます。(理由は後程説明)

ガスボンベのバルブを時計方向にしっかり締めてガスが出て行かない様にしましょう。

試運転

リモコン

ここまで出来たら、室内に行きエアコンの試運転を行います。

冷房をしばらく動かしてみて、冷たい風が出始めたらOKです。

これで完了。といきたい所ですが、少しだけ残りの作業があります。

ホースに残ったガス回収

実はこの状態だとチャージホースにはまだガスが残ったままです。

このままホースを外すとガスが噴き出して危険なので、残ったガスを回収します。

※先ほど、規定量に対して少し少ないタイミングで止めたのはこれが理由です。

冷房を動かしたまま、また室外機の方で作業を行います。

詳しい説明は省略しますが、負圧を利用してガスを回収します。

ガスを回収するには、三方弁の開閉で行います。

上の写真で六角レンチを指している部分の三方弁を時計回りに止まるところまで回して締めます。

三方弁は上下に高圧側と低圧側の二つありますが、高圧側の一つだけ使用します。

※高圧側と低圧側の見分け方は、繋がっている配管の太さで判断できます。

配管の細い方が高圧側です。これを間違えるとエアコン故障や破裂の可能性もあるので絶対に間違えない様にしましょう。

もう一度言いますが配管の細い方が高圧側です。

高圧側の三方弁を締めると、しばらくするとガスが回収され始めて、圧力計の針が下がってきます。

これが、ホースに残ったガスの圧力を示しているので、0になったという事は残ったガスが回収された事を意味します。

0になったら、チャージバルブの後ろのつまみを反時計回りに回して、ピンを戻します。

これで、ホースとエアコンの間にはもうガスが流れない様になります。

ここで先ほど締めた高圧側の三方弁を反時計回りに回して元に戻します。

これを忘れるとガスの流れが遮断されたままなので、室内側のエアコンにガスが流れないので冷えません。

後片付け、復旧

ここまで出来たら、ほぼ作業は完了です。

外していた六角のキャップを付けたりして後片付けしていきます。

キャップを締める時の強さについては、手で絞めただけでは不十分です。(ここからガスが漏れる事もあります)

専用の工具を使わないと数値は伝えらえないので感覚で説明すると、手で絞めた後に、モンキーレンチで10度ぐらいグっとやるイメージです。

カバーなど外した部品を元に戻したら作業は完了です。念のためエアコンが冷えているか最後にもう一度確認しましょう。