この記事では、エアコンクリーニングをDIYで自分でやる方法について解説しています。
市販されているスプレーで行う簡易的な方法ではなく、高圧洗浄機を使う本格的なクリーニングの方法になります。
エアコンクリーニングはまめにしたいけど、業者に頼む費用を節約したい!自分でやる事に興味がある!という方にはおすすめの内容です。
エアコン修理や取り付け業者である筆者が解説します。
この記事でわかる事
ほぼプロレベルのエアコンクリーニングのやり方を解説しています。
道具さえ揃えてしまえば、このやり方で自分で出来る様になります!
※部品の取り外しなど、DIYでは難しい内容は省略していますが、市販のスプレーとは比較にならない程キレイになります。
とはいえ
もちろん、プロの業者さんに頼んだ方が、安全で完璧な仕上がりになります。
エアコンクリーニングで効きが悪い、カビ、臭いを解消する!で業者選びについても解説をしていますので、興味があればそちらも確認してみてください。
最初にかかる費用についてですが、専用の機材を揃えたりするのに約5万円かかります。
ただし、一度揃えてしまえばその後は洗剤などの消耗品以外は費用はかからないので、何台もやる場合や毎年やる、という場合は十分に回収できて、やればやるほどお得です。(業者に依頼するのと比較して)
市販のスプレーじゃダメなの?
市販のスプレーはダメか?というのはエアコンクリーニングに関してよくある悩みです。
筆者個人的には、『やらないよりはやった方が良い』と思っています。
あまり効果がないとか、余計に悪化するなどありますが、多少は良くなりますし、シロッコファンというエアコンの下にある風を送っているファンの部分をキレイにするだけでそれなりに効果はあると感じています。
ノズルが強化されたこんな商品もあります
ただ、奥までしっかり洗えているかというとやはり十分では無いので、そこは今回解説する高圧洗浄機を使用する方法の方がおすすめとなります。
エアコンクリーニングに必要な器材
最初に、エアコンクリーニングに必要な機材を紹介します。
今回解説する方法では最低限必要な物となります。(合計金額約5万円)
※バケツなど、どこにでもある物はホームセンターなどで購入した物でも問題ありません。
高圧洗浄機
一番メインとなる、高圧の水でエアコンを洗う機械です。
リンク先の商品がコンパクトで取り回しが良く、さらにお手頃価格なのでかなりおすすめです。
※エアコン専用工具を多数販売しているイチネンTASCO製です。
高圧洗浄機は持っているけど、それでも良い?
絶対ダメではありませんが、洗車用などは水の出方が広くて、圧力が強すぎる事があります。
できれば専用品の購入をおすすめします。
洗剤関連
・洗浄剤&リンス
エアコンを洗う時に使用する洗浄剤と、洗い終わった後に使用するリンスです。
・カビ除去剤
洗浄剤で落ち切らない、染み付いているいる様な汚れに使用するカビ除去剤です。
※カビキラー等で代用は可能ですが臭いが強いです。
・カビ防止コーティング
洗浄し終わった後にカビの発生を防ぐコーティング剤です。
せっかくキレイにしたら、使用するのをおすすめします。
洗剤噴霧器
・蓄圧式噴霧器
エアコンに洗剤を吹き付けるのに使用します。
タンクに作った洗剤を入れて、上についたポンプを上下して圧力をためてからボタンを押すとプシュっと吹き出す構造になっています。
・ハンドスプレー
噴霧器を使うほどでない、パーツを洗う時に少し洗剤をかける場合に使用(なくても大丈夫です)
ブラシ関連
・歯ブラシなどのブラシ
細かい部分をこすって汚れを落とすために使用。
・ケレン
パネルの爪を外すときや、しつこい汚れをこすって落とすために使用。
養生関係・その他
・養生用毛布
エアコンクリーニング中に床が濡れても良い様に敷く毛布です。
・エアコン洗浄カバー
エアコンクリーニング中にエアコンの周りを覆う専用の洗浄カバーです。
壁などに水が掛からない様にするのと同時に水を集めてバケツなどに流し込む構造になっています。
・養生シート
壁や近くにある家具などを濡れない様にするシートです。
・マスカー
エアコン本体の周りを覆う為に使用します。
エアコン洗浄カバーの補助的な役割です。
・タオル、雑巾×4~5枚
洗浄後に吹上に使用したり、電子部品に水が掛からない様にするのに使用します。
手持ちがある場合はそれでも問題ありません。
・バケツ×2:汚水の受け止めや洗浄用に
クリーニング前の事前確認
これからエアコンクリーニングのやり方を解説してきますが、最初に下記項目を確認しましょう。
設置状況を確認
エアコンと壁、天井の間に10センチ程度のすき間があるか確認しましょう。
稀にすき間なく取り付けられている事があります。
その場合はこの後の分解とクリーニングが出来ない可能性があります。
前面のフタを開ける
エアコンの前面にあるフタを開けます。
※エアコンのフィルターを洗う時に開けるフタです。
正面から見た時に左右にひっかかりがありますので、そこを両手で手前に引っ張ってあげると上にパカッと開きます。
お掃除機能の有無を確認
フタが開いたら、中の状況を確認しましょう。
エアコンの種類によっては自動でフィルターをお掃除してくれる機能がついている物があります。
もし写真の様に色々な装置が付いている場合はお掃除機能付きエアコンです。
逆にフィルターしか見えない場合は付いていないエアコンです。
お掃除機能付きエアコンの場合はクリーニングをするにはお掃除機能の機械も分解して取り外さないとクリーニングが出来ません。
この場合、※分解の難易度がかなり高い為DIYでのクリーニングは難しくなります。
年式を確認する
本体下部等にラベルがあれば、製造年月日を確認しましょう。
『20XX年』と書いている部分があるのでそこを確認しましょう。
ルームエアコンの標準使用期間は10年間となっています。
もしそれ以上使っている場合は電源コンセントを抜いた事がきっかけで内部基盤が故障した り分解した際に樹脂パーツが割れるリスクがありますので、それを理解した上で作業しましょう。
また、部品を割ってしまった場合の交換部品が手に入らない可能性があります。
(メーカーに問い合わせて事前に確認は可能)
もし、故障が怖い場合は10年経っているエアコン分解クリーニングはしない方が良いかもしれません。
壁の素材(和室は注意)
最初にエアコンの設置してある壁の素材を確認しましょう。
特に壁の素材に注意してください。
エアコンクリーニングは水をかけていくので、もし水がかかってしまった場合に問題が無いか確認しておきましょう。
一般的な壁紙(クロス)の場合は拭けば問題ありませんが、少し古い住宅の和室だと砂壁や土壁という素材で作られている場合があります。
この場合、もし水をかけてしまうとそこがシミが残ってしまい、乾いても跡が残ってしまう事がります。
洗剤が舞っても大丈夫か
また、作業中は少なからず使用する洗剤がお部屋を舞います。
お部屋に小さいお子さんや洗剤にデリケートな方がいないか確認しましょう。
エアコンの分解
次に、エアコンの内部をクリーニングする為にパネルを分解していきます。
電源取り外し
エアコンを分解する前に電源のコンセントを抜いておきましょう。
※アース線といって白か緑色の細い線が繋がっている場合があると思いますがそれは外さなくて大丈夫です。
フィルター取り外し
エアコン正面の手前にあるフィルターを取り外しましょう。
手前に引くと取れる様になっています(外し方が書いてあります)
ルーバー取り外し
ルーバーを取り外します。ルーバーとはエアコンの下にある風の向きを切り替えている板の様な部品です。
ルーバーは中央がはめ込みになっている事が多いので、少ししならせてあげて余裕を作り、中央を先に外します。
※割らない様に慎重に
中央部分が穴から抜けると、後は左右が簡単に抜けるのでルーバーを外してあげます。
※2枚ある場合は2枚とも
前面パネル取り外し
次にエアコンの前面パネルを外します。
前面パネルとは、エアコンの手前側半分を覆っているボディの事です。
本体前面に数カ所ビス止めされている箇所があるのでまずそれを外していきます。
ビスは写真の様にぱっと見はわからない様にカバーで隠されています。
カバーは指で手前に引っ張ると外れます。カバーを外すとビスが見えるのでそれをプラスドライバーで外します。
ビスが外れたら、あとは爪をひっかかっているのでそれを外してあげます。
エアコンの全面カバーは、後半分と前半分が爪にパチッとはまっています。それを外してあげましょう。
上の写真の赤丸の部分が爪になります。
この爪の場所は機種によりますが、奥にあったりしてわかりづらいので、根気よく探してみましょう。
パネルを手前に軽く引っ張ってみると引っかかっている部分がわかるかも
爪の位置がわかったらケレンやマイナスドライバーなどを差し込んで爪を動かして外していきましょう。
ポイント
あまり強くひっぱらりすぎない様にしましょう。
パネルが割れてしまったり、まれにエアコン自体の壁への固定が甘くて全体が落ちてきてしまう可能性もあります。
ポイント
外したパネルなどの部品は、後で水洗いするのでお風呂場などに置いておきましょう。
クリーニング手順
パネルが外れたら、次に周囲の養生についてです。
養生
最初に関係のない所が濡れない様に養生をしてきます。
まずは付近の床に水が落ちても良い様に毛布やシートなどを敷きましょう。
それから壁、家具に養生シートを張っていきましょう。
壁に養生シートを貼る時は、図の様に床の方から上に向かって重ねていきます。
なぜかと言うと、上の図の様に、上から貼っていくとシートのすき間があると壁の方に水が抜けてしまう為です。
次にエアコンの修理をマスカーで養生しましょう。
本体下部からの手前(自分の方)から巻きはじめ、1周巻いたら最初のスタート位置を通り越して1周半ぐらいまで巻く様にしましょう。(図参照)
マスカーが巻けたら、手前に広げていきましょう。あまり広げすぎると作業がしずらくなるので、適宜調整してください。
マスカーを巻く目的は次につけるカバーでは防ぎきれない本体周囲の微妙な隙間を埋める為です。
次にエアコン洗浄カバーを取り付けます。色々な種類がありますが、ゴムや紐で本体にひっかける形になります。
ここまでやってきた養生がしっかり出来ていれば大体の位置で問題ありませんが、エアコンにかけた水がここに落ちてきて、スムーズに下に流れて行く事を意識しましょう。
写真の様な感じになっていればOKです。
きつい場合や緩い場合やゴムや紐の長さが変えられるのでそれで調整します。
※エアコンの電子部品は水がかかってはいけないので、写真右側の様にタオルをかけてテープで固定しておきましょう。
エアコンの下に汚水回収用のバケツを置いて、洗浄カバーから出ているホースを入れましょう。
薬剤散布
使用する洗剤の準備です。洗剤によって規定濃度が決まっているので、水で洗剤を薄めます。
まず原液を噴霧器に入れて、それから水を足して薄めていきます。
洗剤の濃度は薄すぎても汚れが落ちないし、濃すぎるとすすいでもなかなか洗剤が落ちなくなってしましまいますので、規定されている濃度を守りましょう。
洗剤が出来たら、噴霧器のポンプを動かし圧力をかけてから、アルミフィンに上部から洗剤をまんべんなくかけていきます。
すき間に行きわたる様に意識しましょう。
噴霧後は洗剤を浸透させる為に5分ほど待ちましょう。
リンス吹き付け
次にリンスを吹き付けてあげましょう。
リンスとは、エアコン内部を中性にしてあげる薬品です。
洗浄剤は強いアルカリ性なので、そのままにしておくとエアコンの部品が腐食する原因となってしまいます。
それを、中世に戻してあげる役割なのがリンスです。
洗剤を吹き付けたのと同様に噴霧器に入れるか、ハンドスプレーに入れてエアコン内部にまんべんなく吹き付けましょう。
高圧洗浄
次に高圧洗浄機で流していきます。
先ほどかけた洗剤と一緒に溜まった汚れを落としていく作業です。
※高圧洗浄機の使用方法は使用機種により異なりますので、購入した機種の取り扱い説明書を参照してください。
最初に注意
洗浄に夢中になっていると、気付いたら汚水のバケツが満タンで溢れてしまった、という事があるので作業中たまに汚水バケツの量は気にしましょう。
本体に水をかける際はアルミフィンの上からスタートしましょう。
アルミフィンは縦方向に隙間が空いているので、その目に合わせる様に細かい縦の動きを繰り返しながら横方向に動かしていきます。(縦にジグザグしながら横に進む感じ)
端まで行ったら一段下に下げてまた端までといった様に移動していきます。
これを繰り返し一番下のフィンまで洗っていきます。
アルミフィンが終わったら次にシロッコファン(本体下部にある円柱状のファン)を洗っていきます。
送風口から覗くと見える、円柱状のファンです。
この時そのまま水を当てると水圧でファンがくるくる回ってしまいます。
あまり回転させるとモーターが発電してしまいエアコン故障の原因になるので、回らない様に洗浄ノズルを持つ手の反対の指で押さえてファンを固定します。
指でおさえている部分は洗えないので、おさえる部分をずらしながら端から端まで洗っていきます。
シロッコファンは円筒状になっているので少し回して1往復、というのを繰り返し360度洗います。
ここの工程まで行けば大きな汚れは無くなって来ているはずです。
もししつこい汚れが残っている場合、カビ除去剤を塗布してみましょう。
後片付け・仕上げ
本体の養生はがし
本体に巻き付けたマスカーと洗浄カバーを外します。
注意!床や壁はまだそのまま養生しておいてください。(最後まで水が垂れる可能性がある為。)
拭き上げ
あとはタオルで全体の水分を拭き上げていきます。
特に先ほど洗ったシロッコファンに水分が残りやすいので、
タオルを下に当てて指でくるくる回して水を落としましょう。
また、この時小さな汚れのかけらがが落ちてくることがあるのでそれもタオル
で拭いてあげましょう。
分解した部品の洗浄
最初に分解したパネルやカバーの洗浄をします。あまり強力な汚れはついていないので、
水洗いだけでも良いですし、落ちない汚れはエアコン本体を洗った洗剤を吹き付けて
洗浄してあげましょう。※これらの部品も洗い終わったらタオルで拭き上げてください。
部品組付け
分解した部品を逆の手順で本体部品を組付けます。
試運転、拭き上げ
無事に組付けが出来たら電源を入れて試運転をしていきます。
ポイント
試運転を始めると、シロッコファンから水が飛びます!
最初だけタオルを広げて飛んできた水滴を受け止めてあげましょう。
電源を入れて問題無く動作して、落ちてくる水分も落ち着いたら床の養生をはがします。
試運転で電源を入れたエアコンですが、帰ったあとも内部を乾燥させる為に30分から1時間そのまま動かしておいてくださいとお客様にその事を伝えてください。
冷房でも暖房でも構いません。
ここまでで作業手順は完了です。
エアコンクリーニングのリスク
分解して水を使ってクリーニングをするという以上、エアコンが故障するリスクもあります。
エアコンの故障
電子部品に水がかかってしまって故障する、分解、組み立て時に部品を割ってしまう可能性があります。
故障時の対応方法
一番多いのはパネルやルーバー付近の部品を割ってしまう事ですが、そのレベルであればメーカーから部品を取り寄せて交換する事で復旧する事が可能です
※ただし部品がまだ製造されている場合(あまり古いともう製造していないことも)
メーカーからの取り寄せについては各メーカーで対応窓口があるので連絡をしてみましょう。
費用はかなり良心的です。(ほんとに小さい部品を何十円という単位で売ってくれます)
もしエアコン本体が動かなくなってしまったという場合は、残念ながら高額費用がかります。(再購入で取付 OR 修理が必要になる為)
漏水
エアコンクリーニングは水を大量に使うので、バケツをひっくり返したり、バケツ意外に水を漏らしたりしてしまう可能性があります。
そうすると、床が濡れたり、階下に水が流れてしまいます。
大きなダメージがになる可能性もあるので、水の管理はしっかり気を付けましょう。
まとめ
今回はエアコンクリーニングを自分でやる方法について解説をしました。
費用を節約をしたい方や、DIYに挑戦したい方は手順をよく読んでトライしてみてください。
エアコンを壊してしまったり、水をこぼしてしまうと、せっかくエアコンクリーニングが出来てもがっかりですので、特に気を付けてください。
ここまで読んで、業者に頼んだ方がいいかも?という方はエアコンクリーニングで効きが悪い、カビ、臭いを解消する!の記事でおすすめの業者選びも紹介しているので良ければ見てみてください。
エアコントラブル全般
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